最近、在宅ワークやお家で過ごす時間が増えてきましたね。
朝の忙しい時間帯、日中のブレイクタイム、夜のまったりする時間に、コーヒーで一息を入れる人も多いのではないでしょうか。
そんなさまざまなシーンで、「コーヒーを手軽に飲みたい」と思った時、お湯で溶かすだけで簡単に作れるインスタントコーヒーを愛飲している人もいますよね。
実は、そのインスタントコーヒーを「買ってはいけない」「飲んではいけない」かもしれない理由があるのです。
この記事では、
- インスタントコーヒーに有害な添加物は含まれているのか
- インスタントコーヒーに含まれているアクリルアミドについて
- インスタントコーヒーの健康効果について
を紹介していきます。
インスタントコーヒーに含まれる添加物
食品・飲料の危険性と言って、最初に思い浮かぶのは食品添加物だと思います。
結論をいうと、インスタントコーヒーには添加物は含まれていません。
手元にある一般的なインスタントコーヒーの原材料欄を見ていただければ、「コーヒー豆」とだけ載っていると思います。
有害な添加物は含まれていないという点では、インスタントコーヒーは安心して飲むことできますね。
インスタントコーヒーの製法
次に、インスタントコーヒーの製造方法を見ていきましょう。
- コーヒー豆（生豆）を焙煎し、美味しさを引き出す
- 数種類のコーヒー豆をブレンドする
- 焙煎豆を機械で砕く。
- 細かく砕かれたコーヒーを、抽出機に入れお湯を注ぐ
この後、
「フリーズドライ製法」という、コーヒーを凍らせて真空中で乾燥させる方法
「スプレードライ製法」というコーヒーを霧状にして熱風で水分を蒸発させる方法
このどちらかでインスタントコーヒーが出来上がります。
アクリルアミドとは
先ほどのインスタントコーヒーの製造で最初の過程にあった、コーヒー豆の焙煎。
この焙煎の段階で、有害な化学物質の「アクリルアミド」が発生します。
アクリルアミドを大量に摂取すると、神経障害・発がん性の可能性があるとされているのです。
アクリルアミドは、もともと土壌凝固剤、化粧品などの工業用途で1950年代から製造されているものですが、揚げる・焼く・煎るなどをした、ばれいしょ加工品や、コーヒー豆などの穀類加工品に、アクリルアミドが高濃度に含まれている可能性があることが発表されました。
コーヒー豆を120℃以上の高温で焙煎する際、コーヒー豆に含まれる糖類などが加熱される過程で、アクリルアミドが発生するのです。
アクリルアミドの含有量
農林水産省が調査したインスタントコーヒーと、その他の食品のアクリルアミドの含有量を見てみましょう。
| アクリルアミド濃度（mg/kg） | |||
| 食品 | 最小値 | 最大値 | 中央値 |
| レギュラーコーヒー（豆） | 0.16 | 0.35 | 0.24 |
| インスタントコーヒー | 0.4 | 0.87 | 0.56 |
| レトルトカレー | 0.03未満 | 0.27 | 0.05 |
| ほうじ茶（茶葉） | 0.03未満 | 1.0 | 0.25 |
| 麦茶（煎り麦） | 0.1 | 0.65 | 0.21 |
| ポテトスナック | 0.03未満 | 4.6 | 0.61 |
このように、レギュラーコーヒーよりもインスタントコーヒーの方が、アクリルアミド濃度が高いことが分かります。
他にもアクリルアミド濃度が高い代表的な食品は、ポテトスナックです。
また、インスタントコーヒー以外にも、同じくインスタント食品のレトルトカレー、飲料であれば麦茶やほうじ茶にもアクリルアミドは含まれています。
アクリルアミドは、前述したように糖類などが過熱する過程で生成されるものであり、人が食事をする上では完全に避けることができないと言われています。
インスタントコーヒーの健康効果
インスタントコーヒーには、アクリルアミドという有害な化学物質が含まれているとお伝えしましたが、健康を増進する効果もあります。
インスタントコーヒーに含まれる代表的な健康成分は、「カフェイン」と「ポリフェノール」です。
カフェイン
カフェインには、覚醒・興奮作用があります。
カフェインに覚醒・興奮作用があるのは、脳内に分泌されるアデノシンという神経を沈静させる物質の作用を阻害するからです。
これにより、眠気覚ましに効果があるほか、筋肉の動きが活発になることにより、運動能力が向上するという効果もあります。
コーヒーポリフェノール
コーヒーには、赤ワインに及ぶほどのポリフェノールが含まれています。
コーヒーに含まれるポリフェノールで多いのは、クロロゲン酸です。
クロロゲン酸には、血糖値の上昇の抑制、活性酸素の抑制する抗酸化作用があります。
このように、インスタントコーヒーには健康を増進する作用があり、一概に「絶対飲んではいけない」と決めつけることはできません。
インスタントコーヒーは買ってはいけないのか？
結論から言うと、過度に摂取せず、適量を守ればインスタントコーヒーを購入し、飲むことに問題はないと考えます。
確かに、アクリルアミドは発がん性の可能性がある物質です。
しかし、インスタントコーヒーも、その他の食品も、加熱は料理には欠かせない工程のため、完全には避けることは難しいです。
そのため、農林水産省でもアクリルアミドへの対策として家庭でできることは「食事の栄養バランスに気を付けること」としています。
これは、アクリルアミドを気にするがあまり、むやみに加熱調理を避ける、濃度が高い食品を避けるなどの対策を取ると、食中毒の可能性が上がる、必要な栄養素を取れなくなる、などというマイナス効果があるからです。
また、インスタントコーヒーにはアクリルアミド濃度が高いという部分もあれば、カフェインやコーヒーポリフェノールによる健康増進作用もあります。
ただし、カフェインも過剰摂取すると不眠症や神経症の原因にもなります。
カフェインの過剰摂取を避けるため、カナダ保健省では1日あたりのカフェイン摂取量は成人400 mg（マグカップで約3杯）と定めています。
このように、インスタントコーヒーを飲むメリット・デメリットを理解し、悪い部分だけに過剰に反応せず、適切な量を摂取するのが理想的だと考えます。
