買ってはいけない?!恐怖動画配信

怖いもの見たさって、ありますよね。
ホラー関係は一切ダメ、という方もいらっしゃいますが、一方で少し昔まではTVでも心霊特集番組が人気でした。今では、動画配信サービスなどの普及に伴い、TVでは以前ほどそのような番組を放送しなくなっています。

でも、そのいわゆる「恐怖映像」を集めたような動画、買ってもよいのでしょうか?
・・・と問われて、「見たら呪われるから、絶対買ってはいけないビデオ」というような情報を想像した方には、申し訳ありません。むしろ逆です。

すなわち、恐怖動画を集めた映像コンテンツには、「ちっとも怖くない」「内容が詰まらない」というものがとても多いのです。

冗長なものが多い


「これは、とある家族の旅行の際に撮影された映像である・・」といったようなナレーションと共に、ハンディカムやスマホで撮影されたような動画が始まる、というスタイルのものが多いのですが、中には肝心の恐怖シーンに至るまでの過程があまりにも長く、冗長なものがあります。

「・・観光地で楽しく過ごす家族。天気も良く、平和な雰囲気である・・」
ナレーターがオドロオドロしい口調で、状況を説明したりしますが、見れば分かることを、小学生の作文のような表現で言っているだけです。そんな、知らない他人の日常風景を延々と、ひどい場合は何分間も見せられます。

「・・はしゃぎまわる子供たち。とても元気いっぱいである・・」
気まずい間をつなぐかのように、相変わらず重々しい語り口のナレーションが入ったります。
見ている方は、一体いつまでこんなつまらないものを、見続けなければならないのだろう?」と、段々イライラしてきます。

恐怖シーンがよくわからないことがある

「だが、恐ろしい影が忍び寄っていることに、彼らは気付いていなかった・・」
やっと本題に関係するナレーションが流れ、画面に向き直ると、そのまま日常風景が流れ続けてやがて動画が終わります。

「ん?なに?どういうこと?」とばかりに呆然としていると、

「・・お分かりいただけただろうか・・」
とのナレーション。思わず「お分かりただけなかったよっ!」と突っ込んでしまいそうになります。

大抵は直後に「・・それではもう一度、問題のシーンをご覧いただこう・・」などと言われ、一度どころか何回も繰り返し同じ部分が再生されます。しまいには、「妙なものが映り込んでいる」という部分を拡大して、「→」などまで付けてもらって、やっと「あーこれかあ」と、理解することになります

写っている現象は、本当に「恐怖」を覚えるものなのか?


このような映像には、確かに人の顔のようなものが小さく映っていたり、もやのような影が画面の隅を横切ったり、動くはずのないものが勝手に動いたりしており、奇妙または不思議ではありますが、よく考えたら別に怖くはないぞというものも多いです。

「奇妙なものが映っている→これは死者の霊魂に違いない→霊魂は怖い→だから恐怖映像だ」という連想が、作り手側と視聴者側で共有されているということが前提になっていないと、「恐怖映像」だとは必ずしも言えないのではないでしょうか。

明らかに「やらせ」なものも多い

中には、突然画面いっぱいにバーンと異形のものが登場し、ドキッとするようなパターンの動画もあります。

導入部分が冗長なのはこちらでも同様ですが、多くの場合、別に見どころのない景色の撮影だとか、何をしているわけでもない日常生活の一コマとか、「なんでそこでカメラを回したの?」と不思議に思うような不自然な状況で撮影されています。

そして、カメラが一瞬違う方を向いて、元の方向へ向き直ると、さっきまではいなかったはずの幽霊やお化けがヌーッと画面に現れ、撮影者が慌てふためいたことで画面が乱れて終わる、というような内容になっています。

慣れてくると、動画を見ながら「ああ、これは次の瞬間来るな」と予想することさえ可能になります。動画制作者もその辺は当然分かっていて、恐怖対象物の登場タイミングをずらしたり、画面が乱れた後再登場させて2回脅かしたりと、新しい工夫に余念がありません。

こういった種類のものは、最早ビックリ箱やお化け屋敷のようなもので、何かが出ることや、その出て来る物はフェイクであることが分かったうえで、ドッキリすること自体を楽しむものと言えます。

恐怖動画自体がダメなわけではない

このように色々突っ込みどころの多い恐怖動画ですが、こういった動画自体が悪いというわけではありません。

どんな動画が好きかは人それぞれですし、心霊現象を信じる信じないも個人の自由です。恐怖というより、最初から一種の冗談動画だと理解したうえで笑いの対象として視聴する場合もあるでしょうし、友人や恋人と部屋で盛り上がるために見る場合だってあります。

ただ恐怖動画の配信は、買ってよい/悪いで言えば、「買ってはいけない」でしょう。
なぜならば、こういった動画は別にわざわざ買わなくても、YouTubeやTikTokにたくさん投稿されていて、無料で見られるからです。

動画配信サービスでも、無料コンテンツならよいですが、わざわざお金を払って見るようなものではない、ということです。費用が掛かる分、恐怖対象物の造形がよくできている・恐怖対象物登場に至る経緯のストーリー性が秀逸など、クオリティが高いのであれば別です。

しかし残念ながら、SNSで無料で見られるものと、動画配信サービスで提供されるものの間にそういった質的な差はありません。そもそもタイトルからして「投稿者から寄せられた恐怖映像」だったりします。本当は投稿者なんておらず、実際にはプロの脚本家やカメラマンが制作しているのでは?と思いきや、本当に一般の素人からこうした動画を買い上げたりしています。

素人が作った、無料で見られるレベルのものをただまとめているだけ。そのようなものは、やはり「買ってはいけない」ということです。

まとめ

以上で本記事を終わります。内容が冗長だったり、分かりにくかったり、あきらかにやらせだったりする恐怖動画ですが、無料で楽しむのは個人の自由です。
ただし、お金を払って買うまでの必要があるかについては、慎重に判断しましょう。

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